2020年7月31日刊行 
 A5判275頁 
 頒価2000円

 

内容紹介

号は、二つの特集をはじめ、投稿論文、研究ノ―ト、資料紹介、社会調査演習報告を収録しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、編集日程に遅れが生じてしまいましたが、内容としては質・量ともに厚みのある一冊に仕上がりました。

特集1「記憶風景を縫う―アルピジェラと手仕事の射程」は、2017年に仙台、京都、長崎の三都市にて開催した「記憶風景を縫う―チリのアルピジェラと災禍の表現」展のなかで、またそれにかかわって生まれた思考と対話の記録である。この展覧会は、南米チリに起源を有する手縫いの壁かけ・アルピジェラを紹介するとともに、戦争や政治暴力、自然災害といったさまざまな災禍を描いた世界各地の手仕事作品にフォーカスを当て、異なる歴史経験のあいだの対話の可能性を考えようとする企画であった。……これらの作品を注視し、同一の空間に置いてみてみることは、歴史や時間と人とのかかわりについて、および手を動かして行う創作の営みの普遍性について、改めて考えさせるものとなった。

特集2「「時間の社会学」の現代的展開」は、2019年度第1回「社会の時間」研究会:「時間の社会学」の今日的課題(立命館大学・大阪梅田キャンパス、2019年8月29日)、第92回日本社会学会大会・テ―マセッション(4)「『時間の社会学』の現代的展開」(コーディネーター:高橋顕也、東京女子大学、2019年10月5日)での研究報告をもとに企画されたものである。……しかし「時間の社会学」とはどのような学問分野であるのか、あるいは「時間の社会学的な研究」がどのような意味で「時間」に「社会学的」に取り組んでいるのかについて、現在広く受け入れられた了解が存在するわけではない。その点は、本特集の各論文を一読しても見て取れるであろうし、また関連する先行研究を渉猟してみても、その状況に変わりはないと思われる。

 

目 次

特集1:記憶風景を縫う―アルピジェラと手仕事の射程

序 記憶風景、手仕事、アルピジェラ―ある展示企画のねらいと経験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・酒井朋子

「争われる空間」のアルピジェラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロベルタ・バチチ

「『争われる空間』のアルピジェラ」との応答―異なる歴史経験のあいだの対話に向けて・・・・・・・「記憶風景を縫う」実行委員会

生きてあることの証―福田須磨子とギンナン人形・壁掛け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・友澤悠季

 

特集2:「時間の社会学」の現代的展開

特集紹介―「時間の社会学」の現代的展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「社会の時間」研究会

ニクラス・ル―マンの時間論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・梅村麦生

社会学的システム理論におけるメディア・形式・時間・システム概念の数理的構造をめぐる試論・・・・・・・・・・・・・・高橋顕也

時間・空間・象徴―アルヴァックスの時間論をめぐって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・金瑛

見田社会学における未来とニヒリズム―時間意識の四類型論をこえて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・德宮俊貴

退歩の観念を葬ったのは誰か―P・ボウラ―とM・ホ―キンズの進化思想史再読・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉田耕平

テレビの時間、元号の時間  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木洋仁

 

投稿論文

「社交性の社会学」序説―G・ジンメルとE・ゴフマンにおける社交性論の境界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田村豪

 

研究ノ―ト

レストラン調査から見る都市部少数民族文化の生き延び方―シリンホット市のモンゴル風レストランを中心に・・・・・・・・・李兆欣

 

資料紹介

日本・韓国・台湾の国際結婚に関する質問紙調査の基本集計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・藤井勝・平井晶子

 

2019年度社会調査演習報告

老年期の華僑における世代継承性の認識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嶺岸匠

華僑研究者の当事者性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・成田まお

 

ソシエテ

価値を眺めること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泉瑛輔

徒然なるままに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・桑木理紗子

 

〈学位論文題目〉

〈研究室便り〉

〈編集後記〉

〈審査要項〉