神戸大学人文学研究科社会学研究室では、フィールドワークを通して現代社会の動態を調査分析し、社会構造と文化形象との相互関連という視点から、現代社会の諸問題、地域の固有文化・造形文化の変遷を巡る諸問題を国際的視野のもとに解明することにより、社会文化の形成に寄与できる人材を養成します。


お知らせ

ドイツ留学中の田村くんからレポートが届きました(その4)

前回に続いて、ドイツ留学中の学部4回生、田村君からレポートが届きました。

今回はG20で注目されているハンブルクのデモについて書かれています。


さて、留学生活も残り1か月と半分くらいになりました。ゼミのことを書こうと思っていましたが、今回はちょうどハンブルクで行われているG20について書きたいと思います。

まず、ハンブルクでG20を歓迎している人がほとんどいないと思われます。

お金がかかる、テロの危険がある、生活に支障が出るといったことが反対の理由だそうです。

もっと小さな町ですれば警備もしやすく危険も少ない上、結果としてお金もハンブルクで開催するよりもかかりません。

以前オリンピックの候補地であったハンブルクですが、そのときは市民の反対で候補地ではなくなったという話を聞いたことがあります。

なぜハンブルクなのかというと、ハンブルクが港町として外部に開かれた場所であるという理念的な理由があるようです。結果として過激なデモも招いてしまったという点ではハンブルクでの開催は失敗だったのかもしれませんが、あえて積極的な面を挙げるとすればこれだけ大規模なデモが数日間にわたって行われたこと、そして、ただG20反対に限らず、反トランプ、フェミニズムを掲げる人々、クルド人の権利を求める人々、環境問題を訴える人といった様々な主義主張を持った人が集まったことではないでしょうか。メルケル首相にどこまで意図があったのかは推測の域を越えませんが、市民の声があることをG20に参加している各国トップに知らしめるという点では大きな意味があったのではないかとも思います。

さてでは実際にデモを見に行って感じたことを以下書きたいと思います。

まず自分は7月6日(G20の前日)に行われたデモを見に行きました。

フィッシュマルクトという朝市で有名な観光地の近くから始まるデモでした。

デモ隊の街宣車からは音楽が流されるとともにスピーチがなされていました。

「Wellcom to Hell」といった横断幕をはじめ、道沿いの家にはG20反対の幕がたくさん張られていました。

そのような異様な光景が広がるなかデモ開始予定の19時になってもデモが始まらず、不思議に思っていると、突然花火が上がり、発煙筒が焚かれ煙があがりました。

その数分後、警官隊とデモ隊との間で衝突が起こり、デモ隊はビール瓶や道のレンガを投げ、警官隊は放水車や催涙弾でデモ隊を鎮圧していました。

まさにテレビの中でしか見ないような、日本ではこんな光景はもはや見ないであろう、そんな光景でした(2年後のG20は日本での開催だそうですが…)。

ニュースによれば衝突が起きた後デモは中止になったということでしたが、実際にはそのあとも人々のデモの流れはあり、夜遅くまで続いたようでした。

過激なデモとは対照的だったのは7月8日(G20二日目)のデモです。ハンブルク中央駅の近くから始まり、繁華街のSt.Pauliという場所まで行われました。

0万人規模のデモということでこちらも見てきました。

行進はスムーズに進み衝突もありませんでした。

デモ隊の先頭にはヘルメットを被っていない警官隊がおり、その後ろをデモ隊が続いていました。デモ隊には先にも述べたようにたくさんの団体が混在しており、街宣車のある団体も多かったように思います。

デモに参加している人々は老若男女問わず、たくさんの人が参加していました。

ここで感じたのはデモが非常にお祭りに近いということです。

街宣車からは大音量で音楽が流され、色とりどりのプラカードや旗を持ち、ゲリラ的にコールが起きていく、という感じでした。

途中歩道橋のある場所では歩道橋の上から命綱を付けた人2人が宙にぶら下がり布を張るといった非常にパフォーマンス的なことも行われていました。

デモのゴール地点ではライブ会場のようにステージが用意され、その周りでは小さな屋台が軽食を提供していました。

またある地域では極左の集団が暴徒化し路上の車や商店を破壊したということもありました。このような暴力行為があることで直接被害をこうむる人がいると同時に、左翼と呼ばれる人が危険というイメージが広がるのだと思います。自分で自分の首を絞めているのではないでしょうか。

一連の騒動(G20という政治的なものが一種の騒動に見えてしまったというのは残念ですが)を通して感じたのは、やはり、政治とそこに住む人やその政治に関係している人との距離が非常に近いということです。日本での人々の政治離れというのはよく言われますが、それと比べたら明らかにハンブルクの人は政治が身近にあるように思います。今回のデモもそうですし、過激な行動の後に市民で掃除をしたり、平和的なデモが起きたりするというのは日本ではなかなか起きないのかなと感じます。

8月に帰国するので現地から報告できるのは次回が最後になるかと思います。

少しでも充実したものとなるよう精進したいと思います。