2017年8月31日刊行 
 A5判225頁 
 頒価2000円

 

内容紹介

近年の社会学においてはその存立意義や方法についての再検討と再措定の動きがあるようにも思える。例えば、「語り」や「出来事」をめぐる問題系については、社会学の外部にも開かれた形で論じられる場が増えてきている。また個人の経験と勘にたよる部分が少なくなかった質的調査についても、相当数の解説書や教科書が出版され、またそれに関する議論も活発になっている。この状況をふまえ、本号の特集「変容する『フィールド』から」では、社会学およびその隣接分野における諸研究をとりあげる。人々の具体的な営みや歴史過程という「フィールド」に対し、どのようなアプローチが可能なのか。また、そうした取り組みからどのような知見が開かれるのか。最初の問いに対する直接的な応答ではなく、また新たな問いと発見へと人を誘うという、まさに社会学的な作業の一環として、今号の論考はある。

 

目 次

特集:変容する「フィールド」から

特集紹介 変容する「フィールド」から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 佐々木祐

再読 費孝通著"Peasant Life in China" (1939)―マリノフスキー野外調査法からの考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐々木衞

統計地図と民俗調査からみた西南日本型結婚パターンの持続性  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中島満大

境界への囲い込みに抗う移動実践とその合流―南米ペルー・ティティカカ国立保護区における先住民ロス・ウロスの自然資源利用に注目して  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・村川淳

移動する身体―メキシコにおける中米移民の現状から  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐々木祐

 

投稿論文

東アジア地方社会における国際結婚の現状―日韓台質問紙調査からみた再生産領域の変容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・連興檳

大学生が語る家族の規範意識―若者の人生設計を事例に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボヤナ・ヤマモト=パヴラシェヴィッチ

初期パーソンズ社会学の社会学史的な再解釈―比較文明学・トッド人類学を志向して  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小川晃生

〈アイデンティティ〉の現在―自己物語論の視点を中心に  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・津田翔太郎

中国の住宅取得における性別役割分業と世代間関係に対する一考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・万鍇

想像の共同体の現実化の場所としての夜市―社会的余暇活動による経験の共有に注目して・・・・・・・・・・・・・・・・・藤岡達磨

現代都市における人間関係の可能性を考え直す―アイデンティティと欲望の視点から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・王屴瀟

 

ソシエテ

〈没入〉の困難さについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・津田翔太郎

「わかりあえない」ということ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・森永由季

 

〈学位論文題目〉

〈研究室便り〉

〈編集後記〉

〈審査要項〉