研究業績

白鳥義彦(教授)

Cahier d’histoire immédiate, No.48、特集「Trois ans avec Fukushima」

特集「フクシマとともに三年」を含む、トゥールーズ大学の出版局が刊行する現代史の学術雑誌。本特集は、「フクシマ後après」ではなく「フクシマとともにavec」経った三年という視点を基調として、2014年3月11日に同大学で開催された、日本の原子力の問題をテーマとするシンポジウムの諸報告とともに、白鳥が同年2月に同大学招聘教員として行った講義・講演「フクシマ後の日本における原子力の問題」に関する論考から成っている。(白鳥義彦)

(Presses universitaires du Midi, 323ページ, 2015年10月刊行)


ARESER, Christophe Charle et Charles Soulié (dir.)編著『La dérégulation universitaire : La construction étatisée des « marchés » des études supérieures dans le monde』

パリの高等師範学校で開催された科研による国際シンポジウムを含む、「大学の規制緩和:世界における高等教育「市場」の国家管理下の構築」を主題とする編著書。国際比較の視点から、フランス、日本、合衆国、スイス、ケベック、スウェーデン、西アフリカ、マグレブ、チリ等、多くの国の事例が取り上げられ、近年の新自由主義的な大学改革を批判的に検討している。白鳥は、日本における高等教育改革と大学のヒエラルキー化の拡大について寄稿した。(白鳥義彦)

(Éditions Syllepse (Paris) et M Éditeur (Québec), 352ページ,  2015年9月刊行)



平井晶子(教授)

森本一彦・平井晶子・落合恵美子編『家族イデオロギー リーディングス アジアの家族と親密圏第1巻』

平井晶子・落合恵美子・森本一彦編『結婚とケア リーディングス アジアの家族と親密圏 第2巻』

落合恵美子・森本一彦・平井晶子編『ジェンダーとセクシュアリティ リーディングス アジアの家族と親密圏 第3巻』


 『リーディングス アジアの家族と親密圏』(全3巻)は、「アジアを知れば日本がわかる!」を合い言葉に、アジア9社会から貴重な論文を精選し、アジアの内側からのパースペクティブを知るために編まれたシリーズである。各巻には筆頭編者による詳しい序論があり、アジアにおける家族を多層的に俯瞰できる。もともと英語圏の読者を想定していない各社会固有の課題に挑戦した論文、しかし、それぞれの社会で有名で影響力のある論文を厳選した。これらを読むことで、自己オリエンタリズムに陥ることなく、日本研究、アジア研究、比較研究を展開する新たな基盤が形成されることを目指す。

それぞれ20本をこえる論文が掲載された500頁の3巻本。一見、大部であるが、どこから読んでも面白く、読むほどに読みたくなる珠玉の論文集。各社会の専門家でなくても読めるように訳注も充実。まずは興味のあるところから読み進めてほしい。読破した暁には「新しいアジア像・新しい日本像」が立ち現れること間違いなし!(平井晶子)

 (有斐閣, A5, 6300円+税, 2022年3月刊行, 第1巻456ページ, 第2巻504ページ, 第3巻478ページ)

鈴木理恵編『家と子どもの社会史―日本における後継者育成の研究』

日本中世から現代までの家の後継者育成の実情を学際的に論じたはじめての論文集。編者の鈴木理恵の強いリーダーシップのもと、歴史学、教育史、社会学、文学など、さまざまな背景をもつ人々が「家の後継者育成」という一点で集まり、3年間の議論を重ねた成果が本書である。「わかったつもり」の家に新たな視角から切り込む一冊である。平井は第3章「近世村落における後継者育成の前提条件―歴史人口学の視点から」を執筆している。(平井晶子)

(吉川弘文館, A5・320ページ, 7000円+税, 2020年2月刊行)


藤井勝(名誉教授)平井晶子(教授)編『外国人移住者と「地方的世界」』

東アジアで急増する国際結婚。結婚を機に海外移住する女性たちの存在は、送り出し/受け入れ社会双方で顕著な社会現象となっている。本書は6カ国・地域で行った調査をもとに、その実態を克明に描き出す。社会学研究室からは、藤井・平井が編著として中心的な役割を果たすとともに、白鳥・佐々木ならびに研究室出身者・院生が多数寄稿している。

(昭和堂, 368ページ, 5800円+税, 2019年3月刊行)


出口雄一・神野潔・十川陽一・山本英貴編『概説 日本法制史』

 第9章近世村落の家と村を執筆。

本書は社会科学系の学生にむけた教養書として、また、日本史と法学をつなぐ基礎的文献として編まれた1冊です。広義の法から日本の通史を見渡せるものになっているので、日本史に興味のある方もぜひお手にとって見てください。

(弘文堂, A5・528ページ, 3500円+税, 2018年3月刊行)


平井晶子・床谷文雄・山田昌弘編『家族研究の最前線② 出会いと結婚』

未婚、晩婚、離婚、再婚、国際結婚、同性婚――。ひとはどんな出会いを経て、誰と結びつくのか。現代および歴史的な日本の状況と、世界の事情から、結婚の意味を再考する。

(日本経済評論社, A5・368ページ, 5200円+税, 2017年12月刊行)


加藤彰彦・戸石七生・林研三編著『家族研究の最前線① 家と共同性』

「家」とは何か。「家社会」とは何か。

過去1000年の日本の家族の歴史と特質を、国際比較の視点を交えて描き出す。家族の変化を論じるためには、過去の家族について知らねばならない。平井は第4章を担当している。

(日本経済評論社, A5・384ページ, 5200円+税, 2016年9月刊行)


落合恵美子編著『徳川日本の家族と地域性―歴史人口学との対話』

日本社会の「地域性」という古くて新しい問いに歴史人口学からアプローチ

歴史人口学が日本に定着してから半世紀。徳川時代に存在していた個性豊かな地域性と家族を多角的に描き出した実証研究の新展開。平井は第1部第1章、第4部14章を担当、第4部16章を共著で担当している。

(ミネルヴァ書房, A5・546ページ, 8000円+税, 2015年7月刊行)



佐々木祐(准教授)

田中高編著『ニカラグアを知るための55章』

歴史的・文化的に極めて豊かで複雑な背景を持つ中米・ニカラグア。その魅力を多様な観点から描き出した野心的な一冊。「もう一つのニカラグア:大西洋岸とのかかわり」「狂った小さな軍隊:サンディーノと民族主権防衛軍」「保守主義の時代と自由主義革命:『保守党の30年間』とその帰結」「サンディニスタ革命期の文化政策:『あたらしい人間』のための文化」「先住民という『他者』:混血のニカラグア神話」の計5章を執筆した。(佐々木祐)

(明石書店, 四六判・312ページ, 2000円+税, 2016年6月刊行)


松田素二編『集合的創造性―コンヴィヴィアルな人間学のために』

コンフリクトやカオス、不確定性や不条理がもはや「常態」となりつつある現代、新たな共同性とその創発的な能力の発現がこれまで以上に求められている。「集合的創造性」という概念を一つの軸として、多様な観点・フィールドから考察がなされている。佐々木(一番最後に入稿)は中米移民の移動実践を題材に、そこに現れつつある「まだ見ぬ<われわれ>」の力動とその作用について論じた。(佐々木祐)

(世界思想社, 四六判・286ページ, 2800円+税, 2021年2月刊行)


松田素二他編『日常的実践の社会人間学―都市・抵抗・共同性』

今日の社会において生きるわれわれが、実践を通じていかに日常世界を再-構築し、またそれをいかに変革しているのか。都市/抵抗/共同性をそれぞれの切り口に、松田素二のもとで学んだ(り学んだりしなかった)論者が考察を行う。佐々木(学ばなかった方)は、80年代・ニカラグア革命における詩作運動の誕生と圧殺の過程について論じ、そこに今日的な「抵抗」の可能性を探った。(佐々木祐)

(山代印刷株式会社出版部, A5・372ページ 2700円+税, 2021年3月刊行)


田中雅一他編『ジェンダー暴力の文化人類学―家族・国家・ディアスポラ社会』

「ジェンダーは希望である。なぜならジェンダーは男らしさや女らしさが変革可能な属性であることを力強く指し示しているからだ」。にも関わらず/だからこそ、行為遂行的に行使される多様なジェンダー暴力について、人類学的なフィールドワークを元に議論が行われる。佐々木(半分人類学)は、メキシコにおける中米移民女性たちの移動過程に深く刻み込まれた暴力と生き延びの諸局面を描写した。(佐々木祐

(昭和堂, A5・448ページ 6300円+税, 2021年3月刊行)



研究員・院生

2021年度

論文

  • 津田翔太郎「心理学化する社会」における支配的な自己物語/排除される自己物語の構成過程について」『社会学雑誌』38: 205-221, 2021年7月.
  • 德宮俊貴「大卒技能実習生の特徴とベトナムにおけるその背景―兵庫県豊岡市における外国人住民調査より」『社会学雑誌』38: 120-137, 2021年7月.
  • 田村豪「翻訳: ゲーラルト・モゼティッチ「オーストリアにおける社会学のはじまり」」『社会学雑誌』38: 170-204, 2021年7月.
  • 田村豪「翻訳: ジンメルの美学――独創的な折衷主義?(上)」『思想のプリズム』1: 27-52, 2021年10月.
  • 德宮俊貴「見田宗介における「交響」」『ソシオロジ』66(3): 59-76, 2022年2月.

研究報告(学会・研究会・シンポジウム)

  • 田村豪「ジンメル社交論の再構成――具体的なものから出発し1910年の社交論へ向かうひとつの道筋」第60回日本社会学史学会記念大会, Zoom, 2021年6月.
  • 津田翔太郎「アイデンティティ論の再考―「固有の私らしさ」に着目して」第16回日本社会学理論学会大会, Zoom, 2021年9月.
  • 田村豪「修論フォーラム:Geselligkeit/sociability論の系譜」第16回日本社会学理論学会大会, Zoom, 2021年9月.
  • 津田翔太郎「アイデンティティを巡る対話」(対話企画)一般社団法人大牟田未来共創センター, NTT社会情報研究所, NPO法人ドネルモ, 2022年1月.

2020年度

論文

  • 德宮俊貴「見田社会学における未来とニヒリズム」『社会学雑誌』37: 128-144, 2020年8月.
  • 田村豪「「社交性の社会学」序説G・ジンメルとE・ゴフマンにおける社交性論の境界」『社会学雑誌』37: 175-192, 2020年8月.
  • Tsuyoshi TAMURA, "The history of Simmel’s reception in Japan: Unfolding the theme of “society and the individual” in relation to the concept of “culture”",『人間技術と文化に関する国際共同研究(International Studies on Human Technology and Cultures)』58-81, 2021年3月.

研究報告(学会・研究会・シンポジウム)

  • 德宮俊貴「エゴイズムと交響のあいだ―見田宗介の「個」の理論をめぐる問題提起」第15回日本社会学理論学会大会, 一般報告(1), ノートルダム清心女子大学, 2020年9月.
  • 德宮俊貴「地方における非定住高学歴外国人女性―兵庫県豊岡市を事例として」第71回関西社会学会大会, 研究報告II:地域と外国人住民, 龍谷大学, 2020年10月.
  • 德宮俊貴「現代社会(学)における未来意識」第93回日本社会学会大会, テーマセッション7:「時間の社会学」の現代的展開II, 松山大学, 2020年10月.
  • 田村豪「アメリカ社会科学におけるG・ジンメルの初期受容—ジンメルの著作に対する同時代のアメリカにおける書評を中心に」唯物論研究会第43回大会, 個人研究発表, 東京経済大学, 2020年11月.
  • 德宮俊貴「見田宗介のコミューン論の射程―理論体系の内在的再構成のために」2020年度日本社会学史学会研究例会, Zoom, 2021年1月.

2019年度

論文

  • 川口ひとみ「日清修好条規と領事裁判―逆訴、控訴、上告の仕組み」『社会学雑誌』35・36: 187-200, 2019年7月.
  • 張偉霞「子どものいる中国人ニューカマーたちの日本における定住化とその規定要因」『社会学雑誌』35・36: 282-303, 2019年7月.
  • 小川晃生「21世紀におけるトッド的なT・パーソンズ再解釈についての一考察」『社会学雑誌』35・36: 304-318, 2019年7月.
  • 若狹優「ゴフマン理論の「空間」に着目したCMC分析の可能性」(公募特集 メディアとコミュニケーションの社会学)『新社会学研究』4: 162-179, 2019年10月.
  • 田村豪「ジンメル社交性論における演劇モチーフの意義―社交性における共在と創造的個性との両立可能性」『ジンメル研究会会報』25: 4-15, 2020年3月.
  • 德宮俊貴「見田宗介の社会学理論における近代価値空間の反転と裂開―70年代の理論構想の意義」『現代社会学理論研究』14 : 70-81, 2020年3月.

研究報告(学会・研究会・シンポジウム)

  • 德宮俊貴「『まなざしの地獄』再訪―70年代見田社会学における価値理論の構想」第70回関西社会学会大会, 研究報告I:理論・学説, 関西学院大学, 2019年6月.
  • 李兆欣「形骸化した食のタブーから見る少数民族の再構築―中国内モンゴルにおけるモンゴル民族を事例に」第70回関西社会学会大会, 研究報告I:エスニシティ, 関西学院大学, 2019年6月.
  • 田村豪「ジンメル社交性論における演劇的モチーフの意義」ジンメル研究会2019年大会, 大谷大学, 2019年7月.
  • 津田翔太郎「今日的なアイデンティティの困難性を乗り越えるために―『自己の語りえなさ』概念に着目して」第14回日本社会学理論学会大会, 一般報告2, 東洋大学, 2019年9月.
  • 德宮俊貴「見田社会学の内在的・総体的理解をめざして―〈過渡期〉における価値論の検討を中心に」第14回日本社会学理論学会大会, 修論フォーラム, 東洋大学, 2019年9月.
  • 小川晃生「社会規範からみる飼育動物の取り扱いについての一考察―日本のクワガタムシ飼育文化を事例として」第92回日本社会学会大会, テーマセッション1:ヒトと動物の「社会的共生」を構想する, 東京女子大学, 2019年10月.
  • 德宮俊貴「見田社会学の理論構造における時間的契機と社会的契機―『時間の社会学』から『社会学の時間性』へ」第92回日本社会学会大会, テーマセッション4:「時間の社会学」の現代的展開, 東京女子大学, 2019年10月.
  • 平井晶子・齊藤優「外国人住民の家族と暮らし」2019年度関西学院大学先端社会研究所シンポジウム:モビリティと地方的世界の変容―豊岡市外国人住民に関する調査から, 報告1, 関西学院大学, 2020年1月.
  • 梅村麦生・福田恵「外国人雇用事業所と外国人住民の仕事」2019年度関西学院大学先端社会研究所シンポジウム:モビリティと地方的世界の変容―豊岡市外国人住民に関する調査から, 報告2, 関西学院大学, 2020年1月.
  • Tsuyoshi Tamura, ”Georg Simmel’s “Rembrandt” and society:inner socialization and immanent generalization”, Passages Philosophiques IV , Université Paris Nanterre, 2020年2月.

受賞

  • 德宮俊貴,第70回関西社会学会大会奨励賞,「「まなざしの地獄」再訪―70年代見田社会学における価値理論の構想」,2019年6月.