1995年3月31日発行
A5判209頁
頒価1,200円
内容紹介
阪神大震災の被害によって発行不可能と思われた今号でしたが、当初の予定から大幅に遅れはしたものの、無事発行することができました。震災以降の神戸大学や当研究室のようすについては、北原淳(神戸大学)の「阪神大震災と社会学研究室」のなかで刻銘に記されています。また、石山靖男(神戸新聞社)による「危なかった新聞発行」は、震災によって本社ビルに壊滅的被害を受けながらも、一日も休むことなく被災地に情報を提供し続けた神戸新聞の努力を伝えています。
今号では、「比較社会学への展望」と題してアジア社会に関する論考を特集しました。この冒頭には、当研究室で主催したS.N.アイゼンシュタット教授による講演会「日本社会の発展―比較近代歌論の視点から―」の模様と、同教授の比較文明論の理論的枠組みに関する著作の抄訳を配しました。これと同時に、タイ、韓国、日本、中国、フィリピン各国に関する諸論文を掲載しています。
(S.N.アイゼンシュタット:イスラエルのイェルサレム・ヘブライ大学名誉教授。 今号で訳出した著作の原題等は、以下の通り。
A Sociological Approach to Comparative Civilizations : The Development and Directions of a Research Program, The Hebrew University of Jerusalem, Jerusalem,1986. )
また、この『社会学雑誌』創刊に尽力され、94年3月をもって退官された長谷川善計教授の退官記念祝賀会・最終講演の模様が報告されています。
目 次
特集 比較社会学への展望
アイゼンシュタット教授講演会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・油井 清光
比較文明論への社会学的アプローチ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・S・N・アイゼンシュタット
──比較文明:一つの理論枠組み──
共同体意識と村落開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・北原 淳
──タイNGO農村開発理論の批判的検討──
「書院祭」と地域社会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・金 相圭
──韓国慶尚北道「尼陽書院祭」の事例を中心に──
農業水利研究への社会構造論的アプローチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小林 和美
──余田博通「溝掛かり」論の学説史的検討──
中国の家族規範の特質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・高谷 尚美
──家族形成過程を中心に──
「国際労働力移動の人類学」試論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長坂 格
──フィリピン・イロコス地方一農村の事例研究──
寄稿論文
デュルケーム社会学における分析・説明原理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・呉 賢淑
──発生論的方法を中心として──
書評論文
新しい普遍史の再構成のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・池田 太臣
──シュテファン・ブロイアー著『マックス・ヴェーバーの支配の社会学』を読む──
阪神大震災によせて
阪神大震災と社会学研究室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・北原 淳
危なかった新聞発行・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・石山 靖男
ソシエテ
「旅」──徳山市で考えたこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・岩谷 親憲
「今」を読む目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・武永 勉
t君の仕事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・横住 岳史
エイズ一考・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西村由実子
長谷川善計教授退官記念祝賀会・最終講義
社会学研究室の歴史──『五十年史』に向けて(その二)――
卒業論文題目一覧
<研究室便り>
<編集後記>
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