1993年3月31日発行 
A5版293頁 
頒価1,200円

 

  内容紹介

 本号はふたつの特集から構成されています。まず「デュルケーム」特集は、デユルケームの現代的かつ社会学的意義を問うという視点から企画され、以下の諸論文が収録されています。大野道邦(神戸大学)「集合的沸騰とシンボリズム」では、デュルケームの「独自の実在としての社会」を、シンボリズムによる沸騰の構造化という視点から、意味システムとして考察されます。中島道男(奈良女子大学)「デュルケムと<制度>理論」は、デュルケムが<制度化する制度>をその射程に入れていることをふまえて、彼の社会学が動態的な<制度>理論であることが示されます。山下雅之(近畿大学)「動物社会から有機的社会へ」は、コントの死からデュルケムまでのフランス社会学史の「空白」をエスピナスで埋め、理想的価値として論じられた社会レベルの「連帯」概念の理解に迫っています。文献紹介:「デュルケームの知的発展[問題]再考」(J・C・アレグザンダー、呉賢淑・油井清光訳)では、デュルケムの展開が、秩序問題への「イデオロギー的接近」とそれの「理論的表現」との矛盾をはらんだ往復運動として捉えられる、というアレグザンダーの説が紹介されていま す。 
 特集「世界の酒」は、文化と酒の密接な関係を「比較社会学的」な視点から見る、というコンセプトで組まれています。眞方忠道(神戸大学)「ギリシアに於ける酒と文化」では、古代ギリシャに見られる酒と文化の関係の源流へとさかのぼって、このテーマが論じられます。「座談会 世界の酒」では、諸外国からの留学生のお話から、世界の諸地域において、それぞれ独特の「酒」文化が形成されていることが明らかとなります。 
 また、神戸大学の地元である関西地方は古くから酒造業が盛んで、「酒」が文化として根付いている地域といえます。長谷川善計(神戸大学)「近世灘酒造業の台頭と発展」、矢倉和紀(神戸大学)「近現代の灘酒造業の発展」では、伝統的な地場産業としての灘の酒造りの歴史的な経緯が論じられます。稲見宗孝(サントリー株式会社)「酒と、広告と、文化と」では、サントリーの企業活動に携わってきた論者の体験に基づき、現代社会における「酒」文化のありようが述べられています。

 

 目 次

特集 デュルケーム ──その社会学的意義── 
 集号的沸騰とシンボリズム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大野 道邦 
 デュルケムと〈制度〉理論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中島 道男 
 動物社会から有機的社会へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山下 雅之 
文献紹介 
 J・C・アレグザンダー著「デュルケームの知的発展[問題]再考」 
                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・呉 賢淑・油井 清光

海外の社会学 
 韓国における大学教育の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソウル大学 金  一鐵 
論壇 旧ユーゴ紛争への視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・材木 和雄

特集 世界の酒 
  ギリシアに於ける酒と文化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・眞方 忠道 
  酒と、広告と、文化と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・稲見 宗孝 
  近世灘酒造業の台頭と発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長谷川善計 
  近現代の灘酒造業の発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・矢倉 和紀 
座談会 世界の酒            各国からの留学生・神戸大学文学部教官

沖縄のヤー(家)と門中について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・安和 守茂 
ヴェーバー日本封建制論の文献学的考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・野崎 敏郎 
東アジアにおける親族集団の諸概念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・金  相圭

ソシエテ 
 『社会学雑誌』十年をふりかえって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長谷川善計 
 社会学協会のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・古川 信雄 
 『ソシエテ』と聞けば思い出す ほろ苦い青春・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大塚 光明 
 アメリカ便り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・北原  淳

<研究室便り> 
<編集後記>